平井和正追悼

本を整理してたら偶然、未読だったアンドロイドお雪が発掘されたので読んでいる。初期平井和正の、情念たぎるハードボイルドSFが楽しめる……が、この人類に対する閉塞感、絶望感、嫌悪感みたいなのは、今読んでみるとすこし食傷気味。

むかし夢中になって読んだゾンビハンターではそのテーマが頂点に達するのだが、たぶん今読んでも当時と同じ興奮を味わうことはないだろう。むかしはそれ――絶望感なり閉塞感なりみたいなものこそリアリティを生みだすもとだと思っていたが、なるほど、それも行き過ぎると逆にリアリティを失ってしまう。はたして自分の見ている、生きている世界が、そんなに悪いものなのか? まさか! 実のところ、そんなに悪くはない。それどころか、だんだんと良くなってきてるんじゃないか? 

もちろんそう感じるのも、平井和正をはじめ無数の作家たちが叩きだしてきた絶望の物語があればこそだ。だからこそ、マシスンの縮みゆく男のラストで訪れた転回が意味を持つ。閉塞感が極まったその時こそ、次なるステージのおとずれがはじまるのである。

だからこそ今の世の中、そろそろ世紀末的な雰囲気は脱して、楽観主義に宗旨変えしたほうがいいんじゃないか、とももクロを聴きながらそう思うのである。いやー、ももクロchanおもしろいわ。絶賛ドはまり中。