2012-01-01から1年間の記事一覧

武器店とナイトワールドサイクル

ヴォークトの武器店シリーズおもろい。既視感があるタイトルだったのはF・ポール・ウィルスンの始末屋ジャックにイシャーって出てくんのね。ファンなんだろうね。ウィルスンのナイトワールドサイクルも激面白いのでおすすめ。古き良きパルプフィクションの要…

神から人へと回帰する、あらたなる英雄神話譚――――クリストファー・ノーラン監督「ダークナイト・ライジング」

ようやく見に行ったので自分用メモ。一応ネタバレ注意。 ノーラン・バットマン三部作の掉尾を飾るこの映画。あのダークナイトの続きということで、どのように最後を締めくくるのかが気になっていた。結論からいうと、クライム・ノワールとヒロイック・サーガ…

ポップなギタリスト特集

Journeyのニール・ショーン、元Danger Dangerのアンディ・ティモンズ、元Triumphのリック・エメット、肩書きなしのニール・ザザ、日本でいえばTUBEの春畑道哉などが優れたギター・インストのアルバムを出している。複雑な曲構成を持つわけでもなく超絶技巧を…

Mark Freeのソロ「LONG WAY FROM LOVE」

カーマイン・アピスが結成したLAメタルバンド、キング・コブラの元Vo、Mark Freeのソロ「LONG WAY FROM LOVE」を聴く。良質のアメリカンAORである。ハスキーなハイトーンボイスが素晴らしい。この人、実は性転換したらしく現在はMarcie Freeと改名して活動…

易経と高い城の男ごっこ

なぜかおもしろいな、と思って読んでいる。 筮竹をじゃらじゃらならして占うやつである。 さすが長い歴史を持つだけあって、内容はかなり深遠で哲学的だ。孔子はもしあと50年生きられるなら占い(易)の研究にすべて費やすだろう、と言っていたとかいないと…

創造力の源泉――スティーヴン・ラバージ「明晰夢 夢見の技法」

夜が来た いま、すべての湧き出づる泉は、その声を高め わが魂もまた、湧き出づる泉となる ――フリードリヒ・ニーチェ(うろ覚え名言より) 脳科学が進歩し、夢の機能的な側面についても、おおまかなところがわかってきたそうな。特に明晰夢についての研究が…

民族音楽とロック

ケルト音楽をもとにしたポップスといえばエンヤであるが、ロリーナ・マッケニットもすばらしい。エンヤはシンセサイザーで現代的な味付けがされているが、こちらは生楽器を用いているためか、より民族音楽的である。ずっとまえにこの人のアルバムを注文した…

リアリズムなどくそくらえ!根源にせまる物語――中村融訳 リン・カーター「ファンタジーの歴史」

なぜわれわれはファンタジーを読むのか? ほんとうはわからない。ほんとうは気にしない。わかっているのは、次のような語句に出会うと、わたしの内部で何かが目をさまし、ぞくぞくして、反応するということだけだ――「タナール丘陵の彼方のオオス=ナルガイの…

日記日記日記キーーキーーーー

今日はすさまじい日だった。生涯忘れない日となるだろう。 いわゆる革命というやつである。とはいえ私の日常が変わることはない。 ならばなにが革命だ、と問う人がいるかもしれない。 もしくは私を八つ裂きにしたいと彼もしくは彼女が狂人の叫び声を上げつつ…

そだ、旅よう、旅にうにでだ

旅に出よう。 そう思いたち、あまつさえ実行してしまったのがいけなかった。 それはともかく、またもいろいろな事があった。 たとえば、鏡である。旅行に行く前、きれいに拭いておいたはずの鏡が、指紋だらけになり非常に汚れていたのである。私は憤慨した。…

けふの奇想

今日の私は奇想を欲してゐた。 奇妙な味と呼ばれるものを欲してゐた。 だがしかし私にまともな思考回路が備わつてゐるはずがなく、したがつて奇妙な着想を得るにはありのままの自分でよいのではないかと思つた。 しかしそれには原點に返るべくカーカスといふ…

人類は未だ闇の中――カール・セーガン「悪霊にさいなまれる世界」

いわゆるオカルトやらニセ科学批判の科学啓蒙書。 さすがカール・セーガンで、平易で簡潔。分厚いが非常に読みやすいので、すらすらと読める。いかに人間が騙されやすいか――宗教やオカルト、ニセ科学を無批判に受け入れることか。これでもかというほど、事例…

悪夢のお祭り騒ぎじゃーーーーーーーい

すさまじい悪夢の記憶。以下詳細。夜、あたりを見渡すと、刷毛で描かれたような茂みがあちこちに見られ、大きめの公園だな、と僕は検討をつける。しかし校舎のノッペリとした影が僕自身に覆いかぶさっているため、学校であると分かる。あちこちにある常夜灯…

とりとめのない日常を記したごくふつうの日記

友人たちとともに、市内をそぞろ歩きながら、末法の世について語り合った。「命は儚のうございますなぁ」という言葉を機械的に吐き出した友人の視線の先には、猫の死骸があった。自分はそれを見ながら、「所詮この世は命の啖い合いさ」と妖星伝風に言った。…

影を見つめる――河合隼雄「影の現象学」

ずっと前、ユング心理学にはまりたての頃に読んだ本である。 著者は河合隼雄で、日本でユング派が人気なのも多分にこの人の功績が大きいそうな。学問というほど堅苦しくはないが、 人間であれば誰もがもつ「影」というイメージに焦点をしぼり、 神話や文学、…

アメリカの闇を切り裂くひとすじの光――デイビッド・フィッシャー「証拠は語る FBI犯罪科学研究所のすべて」

ほったらかしにしておいたやつの再読。もう絶版なのかよ。 けっこう情報量が多いわりに図が少ないので読むのがしんどいが、なかなかおもしろい。連続殺人犯、毒殺魔、爆弾魔、テロリスト、犯罪組織――人間が人間に対してできる残虐行為の限界を試そうとでもし…

近世ヨーロッパへのいざない 中級編:歴史、とくに軍事史の本の紹介1

今、W・H・マクニールの世界史が人気らしい。 ご多分にもれず、僕もこういうマクロ史観の歴史本が好きだ。特にマクニールは、広い視野に、鋭い視点、新たな問題提起と――どこから読んでも新しい発見がある。それにマクニールの文章は、厭世家のそれではなく希…

感動って何なのだろう――フォレスト・カーター「リトル・トリー」と瀬名秀明「八月の博物館」との関連性

「リトル・トリー」や「ジェロニモ」にものすごく感動した自分にとっては衝撃的な記事を見つけてしまった。インディアンの少年の成長を描いたリトル・トリー、英雄ジェロニモの生涯を描いた「ジェロニモ」の作者フォレスト・カーターはKKK(クー・クラッ…

ユング派の泰斗による、大人になれない子どもの分析――星の王子さまとM・L・フォン・フランツ/永遠の少年

サン・テグジュペリの星の王子さまを読んだことがなかったので、読んでみた。せつないかんじで、とてもいい。じつは永遠の少年(プエル・エテルヌス)という題材を扱ったユング派分析家M・L・フォン・フランツの著書を読むため、予備知識のために読んだの…

心の叫びをみつけだす――グレッグ・M・ファース/絵が語る秘密

ユング心理学系の本を読みあさっていたのだが、これはいいなと思う本があったので紹介してみる。グレッグ・M・ファース/絵が語る秘密 ユング派分析家による絵画療法の手引きである。絵画療法とは、病気によって死を目前に控えた子供たちの、 心理療法とし…

近世ヨーロッパへのいざない 入門編:小説、映画、ついでにゲームなどの紹介

世界史の中ではけっこう近世ヨーロッパが好きだ。 この時代は世界史上でも重要な転回点が訪れた時代だと思うのだが、関連書籍はなんか少ないような気がする。いわゆる大航海時代みたいな、冒険家であるとか、海軍であるとか、海賊であるとか、海外植民地であ…

愛読書1 マーヴィン・ピークのゴーメンガースト三部作

マーヴィン・ピークのゴーメンガースト三部作を、一年のうち何回か読み直している(タイタス・アローンはたまに、だが)。ゴーメンガーストと呼ばれる迷宮じみた巨大な城は、年季の入った古臭い儀式と習慣によって維持されている。儀式の主催者である代々の…

愛読書2 ジャック・ヴァンス 魔王子シリーズ

ジャック・ヴァンスの魔王子シリーズを年に数回は読み直している。それほど好きな作品である……というよりもジャック・ヴァンスの日本での出版数が少ないから同じシリーズを読んで自分を満足させるしかないのだ。ジャック・ヴァンスという人物は、たぶん前述…

愛読書3 シオドア・スタージョン

シオドア・スタージョン。一昔前までは知る人ぞ知るというかんじだったが、今では短篇集が出まくっていて再評価が進んでいる短編の名手だ。僕ははじめ、人間以上とか夢みる宝石とかの長編でしか彼を知らなかったが、当時絶版で値段が高騰していた短篇集「一…

ドゥビドゥバッバダー

エビウェイユーロー エビウェーイ イザハー イザハー アキーノホン ホンチュー なんで日付が7日にならんのだろう。

愛用品 乾電池で動くガジェット ポメラDM20、カシオペアE-65 

乾電池で長時間使用できるガジェットを愛用している 例えばポメラDM20。中古で安くなっているから運が良ければ5000円以内で買える。しかし、まずパソコンと比べて気になったのは、入力時、とくに変換時に少々もたつくこと。タッチタイプで調子よく打ってる最…

人生とは

ひたすら食べて寝て起きて酒を飲みながら漫画と小説を徹夜で読んでいたらいつの間にか寝てしまっていてもの凄い吐き気と頭痛とともに昼目覚めて薬のんでいつの間にか二度寝してとっておいた映画を見るために起きたら夕方でそれをぼんやり見ていたらまたいつ…

モダンホラー第三の男――ロバート・R. マキャモン「魔女は夜ささやく」

スティーヴン・キング、ディーン・クーンツと続いて、日本で第三の男として紹介されたマキャモンであるが、もうすっかり新作が日本で出ていないので寂しいかぎり。再評価が進んで欲しい。キング以降のホラー作家の例に洩れず、ホラーおよびスーパーナチュラ…

マスコミの短絡思考――飯田譲治「ギフト」

連ドラはふだんは滅多に見ないんだが、ふと気になってた「ギフト」を借りて見た。世間的にはいわゆる問題作だとされている。教師をナイフで襲った少年が、キムタク演ずる主人公のバタフライナイフを操る姿を見て憧れナイフを購入した、と発言したことで、マ…

老荘思想のいやし 荘子編

荘子を読む。 老子とともに老荘思想の根幹となっている書物である。日本人にも、なじみのある言葉が出てくる。胡蝶の夢、無用の用、万物斉同、絶対無差別、真人ありて後に真知あり、などなど。 あるところに影を恐れ、自分の足音すら恐れる男がいた。 影から…