た、たいたす・あうぇいくすだと??

http://d.hatena.ne.jp/swelter/20120806/p1

愛読書と自称しているわりにはまったくアンテナを張っていなかったので、本屋で「おっ、ゴーメンガーストが復刊してるな、前の地味な表紙と比べて、いいかんじの表紙やな。買い直すかな〜」と思っていると、タイタス・アウェイクスなる本を見かけて、愕然とする。ピーク婦人が遺稿を元に書いた最終刊だそうな! 

買うべきか、買わざるべきか。ゴーメンガーストのこの未完成感が好きなのに終わらせちゃってどうするのよ、と思ったが、婦人の歿後に出版されたものだということだから、きっと夫への愛が、あるいはゴーメンガーストへの愛が高じて描かれた、私家版的なものだろう。

だからその愛ゆえに、僕はタイタス・アウェイクスを読みたいと思う。なるほど、こうして考えてみると、この紆余曲折を経た結末こそが、ゴーメンガーストの終わりにふさわしいのかもしれない。


ムアコックのグローリアーナのように、マーヴィン・ピークの想像力に刺激を受けた書き手が、また自分流のゴーメンガーストを描いている。その無数の変奏曲、それこそが終わりなき物語としてのゴーメンガーストの偉大さを表しているといえよう。この作品もまた、ゴーメンガーストの変奏曲の一つとして愉しめばいいのだ。