ウェーイ

陶淵明全集〈上〉 (岩波文庫)

陶淵明全集はずいぶん前に買ったものだが、今あらためて読むとぐっと親近感がわいてきて、より深く味わえるようになったように思う。老荘的な人物かと思っていたが、そういう隠者の暮らしのかげに隠れて、かれの激しい気質やユーモアもうかがえる。官職についても他人に頭を下げるのがいやで、すぐやめて農村にもどっちゃったり、貧乏でも施しを受けない気高い理想主義者だけど、酒だけはしっかりもらっちゃったり、お偉いさんに振る舞うどぶろくを自分の頭巾で漉しとって、またかぶりなおしたり――そのなんともとらえがたい複雑さが、人生の苦みを詩と酒をもって妙味に変えようと苦闘する(心ない人はそれを逃避と呼ぶ)、いつの世も変わらぬ人間の姿を浮かび上がらせる。酒だ酒だ酒を持ってこい!!!!!!!!!!!!!!!!