つれづれ

人類は未だ闇の中――カール・セーガン「悪霊にさいなまれる世界」

いわゆるオカルトやらニセ科学批判の科学啓蒙書。 さすがカール・セーガンで、平易で簡潔。分厚いが非常に読みやすいので、すらすらと読める。いかに人間が騙されやすいか――宗教やオカルト、ニセ科学を無批判に受け入れることか。これでもかというほど、事例…

影を見つめる――河合隼雄「影の現象学」

ずっと前、ユング心理学にはまりたての頃に読んだ本である。 著者は河合隼雄で、日本でユング派が人気なのも多分にこの人の功績が大きいそうな。学問というほど堅苦しくはないが、 人間であれば誰もがもつ「影」というイメージに焦点をしぼり、 神話や文学、…

感動って何なのだろう――フォレスト・カーター「リトル・トリー」と瀬名秀明「八月の博物館」との関連性

「リトル・トリー」や「ジェロニモ」にものすごく感動した自分にとっては衝撃的な記事を見つけてしまった。インディアンの少年の成長を描いたリトル・トリー、英雄ジェロニモの生涯を描いた「ジェロニモ」の作者フォレスト・カーターはKKK(クー・クラッ…

ユング派の泰斗による、大人になれない子どもの分析――星の王子さまとM・L・フォン・フランツ/永遠の少年

サン・テグジュペリの星の王子さまを読んだことがなかったので、読んでみた。せつないかんじで、とてもいい。じつは永遠の少年(プエル・エテルヌス)という題材を扱ったユング派分析家M・L・フォン・フランツの著書を読むため、予備知識のために読んだの…

マスコミの短絡思考――飯田譲治「ギフト」

連ドラはふだんは滅多に見ないんだが、ふと気になってた「ギフト」を借りて見た。世間的にはいわゆる問題作だとされている。教師をナイフで襲った少年が、キムタク演ずる主人公のバタフライナイフを操る姿を見て憧れナイフを購入した、と発言したことで、マ…